中国で無料VPNは使える?
使う時の注意点は?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
中国ではインターネットの規制が厳しくなっているため、現地でインターネットを利用するためには、VPNへの接続が不可欠です。
ただし、中国で利用できるVPNサービスは限られます。
当記事では中国でも利用できるおすすめの無料VPNを紹介します。
中国のVPN規制の現状や、VPN使用時のリスクを抑える方法も解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。
- 中国でVPNを利用する際は細心の注意が必要
- リスクを抑えるためには発信内容や接続頻度に注意する
- 中国で利用できるおすすめの無料VPNは「TunnelBear」
VPNラボは、Webマーケティング会社「株式会社オークス」を運営する、げんたが監修しています。VPNの使用歴は約3年。これまで20カ国以上旅をしながらVPNを使用。
【最新】中国におけるVPN規制の現状
中国で利用できる無料VPNについて紹介する前に、中国におけるVPN規制の現状について解説します。
中国は世界でも特に情報統制が厳しく、インターネットの利用については「グレート・ファイアウォール」という大規模な検閲システムによって常に監視・規制されています。
各種SNSやYouTubeなどの動画プラットフォームへのアクセスも規制されているため、中国で日本と同じようにインターネットを利用することは、一般的には難しいです。
VPNサービスを利用すれば、グレート・ファイアウォールのインターネット規制を潜り抜けることが可能ですが、近年の中国ではVPNに対する規制が厳しくなってきており、利用には注意が必要になりつつあります。
中国では認可を受けたVPNサービス以外の利用は違法
現在中国では、認可を受けたVPNサービス以外の利用は違法とされています。
認可を受けたVPNサービスは基本的に中国製のものとなっており、政府の承認を受け、監視された状態で運用されているのが特徴です。
つまり、VPNに接続したとしても、アクセスログや入力した情報などが政府に共有されることになります。
そのため、中国政府の認可を受けたVPNサービスを海外の人間が利用する意味は薄いといえるでしょう。
承認されたVPNサービスを利用した場合、法的な罰則が課せられるおそれがあるので注意が必要です。
特に無料VPNは認可を受けたもの以外は利用できなくなっている
認可を受けたVPNサービス以外の利用が違法化されたのに併せて、中国政府は認可を受けていないVPNサービスに対する規制を強化しました。
結果として、一部のVPNサービスは、中国国内で利用すること自体が不可能になっています。
特に無料のVPNについては、中国の規制を回避するような対策を講じる予算を確保できない都合上、利用できなくなったものが多いです。
現状利用できるものについても、今後さらに規制が強化されることで利用できなくなるおそれがあるので注意しましょう。
有料VPNも利用できないものが増えている
無料VPNと同じように、有料のVPNサービスに関しても、中国で利用できないものが増えてきています。
ただし、有料VPNはユーザーから支払われた利用料を機能の改善に充てることができるため、無料のVPNと比較すると中国の規制を回避できているものが多いです。
代表的なものとしてはSurfsharkがあります。
Surfsharkはインターネット経由のブロックを解除できるNoBordersモードや、VPNを介した通信を通常の通信に偽装できるカモフラージュモードといった機能を実装することで、中国の規制を回避しています。
また、VPNの接続が解除された際にインターネット接続自体を遮断するキルスイッチ機能や、セキュリティ性能が高いOpenVPNプロトコルで接続できるようなVPNサービスは、中国でも利用できる可能性が高いです。
VPNを利用したことで逮捕や罰金のケースもある
以上のように、中国では認可の受けたものでなくても、一部のVPNサービスについては規制を回避して利用することが可能です。
ただし、規制を回避できたとしても、中国で認可されていないVPNサービスを利用したことが発覚した場合、逮捕や罰金のリスクがあることには変わりありません。
実際に中国では、「不法な手段で国際インターネットに接続した」という理由で、警察から警告を受けている事例や、罰金に至っている事例もあります。
逮捕や罰金のリスクを完全になくしたいのであれば、中国で認可されていないVPNサービスの利用は控えた方が良いでしょう。
VPNの利用で逮捕された外国人はいない
中国人がVPNを利用したことで警告や罰金を受けた事例がある一方で、現状外国人がVPNの利用で逮捕された事例はありません。
そのため、旅行や出張などで中国に滞在する際に、個人の範疇で認可されていないVPNサービスを利用する場合は、問題がないとする意見も多いです。
ただし、現状逮捕者がいないというだけで、今後外国人のVPNサービスの利用が取り締まりの対象になる可能性はないとはいえません。
どうしても中国で認可されていないVPNを利用したい場合は、利用方法などに細心の注意を払い、取り締まられるリスクを抑えることが重要です。
中国でのVPN利用リスクを抑える方法
中国でVPNを利用するリスクを抑える方法としては、以下のようなものがあります。
- 収益を稼ぐ目的で利用しない
- VPNを利用した状態で政治的な発言をしない
- 接続時間や接続回数を少なく抑える
上記は政府からの取り締まりを完全に回避する方法ではなく、あくまでリスクを抑える方法に過ぎない点には注意しましょう。それぞれ詳しく解説します。
収益を稼ぐ目的で利用しない
中国で認可されていないVPNサービスを利用する場合は、収益を稼ぐ目的で利用しないようにしましょう。
収益を稼ぐ目的でVPNを利用すると、インターネットの通信については政府の監視を回避できたとしても、収益に関する情報など、別の経路からVPNサービスを利用が判明してしまうおそれがあります。
VPNサービスを利用する際は、政府がVPNを利用している事実を掴むきっかけを可能な限り減らすことが重要です。
VPNを利用した状態で政治的な発言をしない
VPNを利用した状態で政治的な発言をしないことも重要です。
中国が大規模なインターネット規制を行っている理由の1つに、反政府的な感情を引き起こす情報を規制することで、国民の一体感を醸成するというものがあります。
つまり、中国政府は反政府的な発言について、特に厳しく規制を行っているということです。
VPNを利用していたとしても、発言が目を付けられて重点的に調査されると、自分がVPNを利用して中国から発言していることが特定されてしまうおそれがあるので、VPNサービスを利用する際は、政治的な発言をしないようにしましょう。
接続時間や接続回数を少なく抑える
接続時間や接続回数を少なく抑えることも、中国でのVPN利用リスクを抑える上で重要です。
接続時間や接続回数が多いほど、中国政府がVPNの利用に気づく可能性が高くなります。
実際に、VPNへの接続回数が多かったことが原因の1つとなり、摘発された中国人も存在します。
VPNは通信のセキュリティを確保できるため、普段から利用している人ほど常時接続した状態にしがちですが、中国で利用する場合はインターネット利用時のみ接続にするよう心がけ、できるだけ利用回数を控えるようにしましょう。
【徹底比較】中国で利用できるおすすめ無料VPN3選
中国で利用できるおすすめの無料VPNを3つ紹介します。
サービス名 | TunnelBear | Hotspot Shield | Transocks(穿梭VPN) |
---|---|---|---|
本拠地 | カナダ | アメリカ | 中国 |
料金(税込) | 無料(有料版は月額3.33ドル~9.99ドル) | 無料(有料版は月額6.66ドル~9.99ドル) | 無料(有料版は月額600円から) |
サーバー数 | 不明 | 800台以上 | 不明 |
サーバー設置国 | 47ヶ国 | 1ヶ国(有料版は125ヶ国) | 不明 |
同時接続台数 | 1台(有料版は無制限) | 1台(有料版は最大10台) | 不明 |
対応OS・デバイス | Windows、MacOS、Android、iOS | Windows、MacOS、Android、iOS | Windows、MacOS、Android、iOSなど |
ノーログポリシー | あり | 公式の主張ではあり | なし |
返金保証期間 | なし | 45日間 | なし |
それぞれ異なる強みを持つので、自身に合ったものを選びましょう。
1. キルスイッチ機能が利用できる「TunnelBear」
- 無料でも機能が充実
- 無料版でも「AES256bit」を採用
- 接続台数が無制限
- 毎月の通信容量が500MBに制限されている
- 無料版では同時接続数は1台のみ
TunnelBearは、無料版でもキルスイッチ機能が利用できるVPNサービスです。
キルスイッチ機能とは、VPNが切断された際に自動でインターネットの接続自体を遮断する機能で、不意にVPNがオフになった際に、通常の回線でサイトなどにアクセスする状況を回避できます。
中国では政策の影響もあり、VPNに接続をせず規制されているサイトにアクセスすると問題になりかねません。
そのため、無料でもキルスイッチ機能が利用できるTunnelBearは、無料VPNの中でまず選択肢に入ってきます。
なお、無料版では毎月のデータ通信量が500MBに制限されているので注意が必要です。
要素 | TunnelBear |
---|---|
本拠地 | カナダ |
料金(税込) | 無料(有料版は月額3.33ドル~9.99ドル) |
サーバー数 | 不明 |
サーバー設置国 | 47ヶ国 |
同時接続台数 | 1台(有料版は無制限) |
対応OS・デバイス | Windows、MacOS、Android、iOS |
ノーログポリシー | あり |
返金保証期間 | なし |
TunnelBearの評判や口コミについては、以下の記事をご覧ください。
2. SNSの利用に適した「Hotspot Shield」
- 独自のプロトコルを採用
- XやFacebookといったSNSを安全に利用可能
- 無料版では利用できるサーバーが少ない
- 無料版では同時接続数は1台のみ
Hotspot Shieldは、中国からSNSを利用したい場合に適しているVPNサービスです。
Hydraという独自のプロトコルを採用しており、XやFacebookといったSNSを安全に利用できます。
また、無料版でもデータ通信料が無制限なので、無制限に利用することが可能です。
無料版で利用できるサーバーが少ないのが難点ですが、最低限のセキュリティ機能も搭載しているため、中国でも安心して利用できるVPNといえるでしょう。
要素 | Hotspot Shield |
---|---|
本拠地 | アメリカ |
料金(税込) | 無料(有料版は月額6.66ドル~9.99ドル) |
サーバー数 | 800台以上 |
サーバー設置国 | 1ヶ国(有料版は125ヶ国) |
同時接続台数 | 1台(有料版は最大10台) |
対応OS・デバイス | Windows、MacOS、Android、iOS |
ノーログポリシー | 公式の主張ではあり |
返金保証期間 | 45日間 |
Hotspot Shieldの評判や口コミについては、以下の記事をご覧ください。
3. 中国サーバーが利用できる「Transocks(穿梭VPN)」
- 中国のサーバーに接続可能
- 中国政府から認可を受けている
- 無料版では中国サーバーしか利用できない
- 接続情報などが中国政府に共有されるおそれがある
Transocks(穿梭VPN)は中国サーバーが利用できる中国製のVPNサービスです。
中国で認可を受けたVPNサービスであり、有料版では世界各国のVPNサーバーを利用できます。
ただし、無料版では中国のサーバーしか利用できないので注意が必要です。
また、中国認可のサーバーということもあり、接続情報などは政府に共有されているおそれがあります。
そのため、基本的には観光などで中国国内の情報を調べる際に、セキュリティ面を高める目的で利用することになるでしょう。
要素 | Transocks(穿梭VPN) |
---|---|
本拠地 | 中国 |
料金(税込) | 無料(有料版は月額600円から) |
サーバー数 | 不明 |
サーバー設置国 | 不明 |
同時接続台数 | 不明 |
対応OS・デバイス | Windows、MacOS、Android、iOSなど |
ノーログポリシー | なし |
返金保証期間 | なし |
中国で無料VPNを利用する際の注意点
中国で無料VPNを利用する際の注意点は以下の通りです。
- セキュリティ強度が低いおそれがある
- 通信速度や安定性に問題がある場合がある
- 中国入国前にVPNの契約が必要
特に中国入国前にVPNの契約が必要な点は留意しておきましょう。それぞれ詳しく解説します。
セキュリティ強度が低いおそれがある
無料VPNは有料VPNに比べ、セキュリティ強度が低いおそれがあります。
無料VPNはユーザーから利用料を取っていないこともあり、開発に掛けられる予算が少なくなりがちです。
そのため、十分なセキュリティ機能を実装できず、有料VPNよりもセキュリティ性能で劣ることも少なくありません。
特に中国での利用ではセキュリティ性能が重要になるため、無料VPNを検討する場合は
可能な限りセキュリティ性能の高いものを選択することが重要になります。
通信速度や安定性に問題がある場合がある
無料VPNは通信速度や安定性に問題があることも多いです。
VPNは通信のセキュリティを確保するために、回線の暗号化処理や通信の分割送信などを行います。
そのため、通常の回線と比べて通信速度や安定性が低下することが少なくありません。
特に無料VPNは、セキュリティ機能と同じく通信速度や安定性に関する機能にも十分な予算が充てられないことが多いため、通信が不安定になりがちです。
特に動画やゲームのようなデータ通信料の多いコンテンツを利用する場合、通信速度や安定性がネックになることが多いので、快適に利用したい場合は有料VPNの利用を検討しましょう。
中国入国前にVPNの契約が必要
有料・無料を問わず、中国でVPNを利用するのであれば、入国前にVPNの契約を済ませておく必要があります。
中国入国後はグレート・ファイアウォールによる規制がかかるため、VPNサービスの公式サイトにアクセスできない可能性が高いです。
また、スマートフォンの場合も近年のVPN規制の影響で、VPNサービスのアプリがダウンロードできない場合があります。
中国でのVPNの利用を考えているのであれば入国前に契約をし、アプリのインストールや動作確認も済ませておきましょう。
また、中国で特定のVPNサービスが利用できないことを考慮して、複数のVPNサービスを契約しておくのもおすすめです。
中国で無料VPNを利用する際のよくある質問
中国で無料VPNを利用する際のよくある質問をまとめました。
中国でのVPN利用を検討する前に、あらかじめ確認しておきましょう。
- 中国以外でVPNが違法な国はある?
-
中国以外にもVPNが違法な国は存在します。主な国は以下の通りです。
- ロシア
- ベラルーシ
- トルクメニスタン
- 北朝鮮
- イラク
- オマーン
- イラン
また、以下のような国では不道徳行為を行うためにVPNを利用することが禁止されているので注意が必要です。
- トルコ
- モロッコ
- アラブ首長国連邦
なお、日本ではVPNの利用は合法です。
- 中国から閲覧できない主要なサイトは?
-
中国から閲覧できない主要なサイトには、以下のようなものがあります。
- Gmail
- YouTube
- LINE
- Netflix
- Amazon Prime Video
まず、Googleに関連するサービスについては厳しく規制されています。
他にも各種SNSや動画プラットフォームなど、情報の統制が難しいサービスについては利用が規制されているので注意が必要です。
- 中国でVPNに接続できない場合は?
-
中国でVPNに接続できない場合は、別のVPNサーバーに接続してみましょう。
接続先を変える際は、あらかじめインターネットで規制の対象になるようなサイトを開いていないか確認することが重要です。
もしVPNサーバーを切り替えてもVPNに接続できない場合は、VPNサービス自体がグレート・ファイアウォールの規制を受けている可能性があるので、別のVPNサービスを検討することになります。
ただし、中国ではVPNサービスの契約ができない可能性が高いので、入国前に複数のVPNサービスを準備しておくことが重要です。場合は用途が多い方が費用対効果が高くなるので、上記の目的で有効利用できるかも吟味しましょう。
中国で利用できるVPNは今度ごくわずかになる可能性がある
中国で利用できる無料VPNについて解説してきました。
本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- 中国でVPNを利用する際は細心の注意が必要
- リスクを抑えるためには発信内容や接続頻度に注意する
- 中国で利用できるおすすめの無料VPNは「TunnelBear」
中国では年々VPNに対する規制が強化されているため、利用する際には細心の注意が必要です。
特に認可を受けていないVPNを利用する場合、逮捕や罰則のリスクがあるので、発信内容や接続頻度に注意する必要があります。
当記事を参考に、中国でも適切にVPNを利用しましょう。