VPNルーターって必要?
使うとどんなメリットがあるの?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
VPNルーターはルーター自体にVPNを構築する機能があるので、一般的なルーターよりも安全な通信を実現できます。
しかし、様々な企業からVPNサービスが提供されている現在、高価なVPNルーターが必要なのか分からないという人も多いでしょう。
当記事ではVPNルーターの必要性や、導入するメリットについて解説します。
VPNルーターの選び方やおすすめのVPNルーターも紹介しているので、VPNルーターについて気になっている人はぜひご覧ください。
- 法人・個人を問わずVPNルーターを使うメリットは大きい
- 選ぶ際は利用場所の規模や対応プロトコルを確認
- 安いルーターでも利用したい環境にあっていれば十分選択肢に入る
VPNラボは、Webマーケティング会社「株式会社オークス」を運営する、げんたが監修しています。VPNの使用歴は約3年。これまで20カ国以上旅をしながらVPNを使用。
VPNルーターとは?わかりやすく解説
VPNルーターとは、VPNを構築する機能を備えたルーターのことです。
インターネットが普及したことによって、企業や家庭でもルーターを利用することが一般的になってきています。
しかし、一般的なルーターでインターネットに接続した場合、セキュリティが万全であるとは言い切れません。
VPNルーターを利用すれば、より安全にインターネットに接続できるようになるため、機密情報などのやり取りも安全に行うことが可能です。
特に最近は複数拠点を持つ企業やリモートワークを行う企業が増えてきていることによって、需要が高まっています。
VPNルーターの仕組み
VPNルーターは以下のような仕組みで安全なインターネット接続を実現しています。
- トンネリング
- カプセル化
- 暗号化
まず、トンネリングという技術によって、インターネット内に仮想の専用回線を構築します。
文字通りインターネット回線の中で、外部からの侵入を防ぐトンネルのようなものを構築する技術です。
そして、トンネリングによって構築された専用回線で通信するデータは、パケットという単位で一時的に分割されます。
分割されたデータはカプセル化という技術で保護されるため、外部からの不正な操作を防止することが可能です。
さらに、カプセル化されたデータは通信の際に暗号化されるため、万が一漏えいしたとしても解読することが困難になっています。
VPNが登場する前は、上記のような技術を利用するために専用の回線を契約する必要がありました。
VPNを利用すれば、専用回線を用意するよりも低いコストで、上記のような技術が盛り込まれた回線を仮想的に構築できます。
VPNには3種類ある
一般的に利用されるVPNは大きく分けて3種類あります。それぞれの特性は以下の通りです。
- インターネットVPN
- IP-VPN
- 広域イーサネット
インターネットVPNは、VPNルーターを利用して既存のインターネット上に構築が可能なVPNです。
VPNルーターの導入だけで使用可能なので、他のVPNよりも低コストで利用できるのがメリットとなります。
IP-VPNは通信事業者と契約することで利用できる「閉域網」を使用したVPNです。
インターネットVPNよりもセキュリティ面が高く、通信速度も安定していますが、通信事業者との契約が必要なこともあって利用コストが高いというデメリットがあります。
広域イーサネットは通信事業者が保有している独自の回線を利用したVPNです。
セキュリティ面や通信速度の安定性が優れているほか、様々なプロトコルを利用できるので、カスタマイズ性が高くなっています。
ただし、IP-VPN以上に利用コストが高いことが多く、カスタマイズ性が高い分、VPNの構築に専門知識が必要なことがデメリットです。
法人でVPNルーターを導入するメリット
法人でVPNルーターを導入するメリットは以下の通りです。
- 拠点間をVPNで接続できる
- リモートで社内システムにアクセスできる
法人でVPNルーターを導入すれば、離れた拠点間での安全なデータのやり取りが可能になるほか、安全性の高いリモートワークが可能になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
拠点間をVPNで接続できる
法人がVPNルーターを導入することで、拠点間のVPN接続が可能です。
拠点間で情報のやり取りをする際に、公共のインターネットを経由すると、第三者に情報が漏えいしてしまうリスクがあります。
安全に情報をやり取りするためには拠点間を専用回線でつなぐ必要がありますが、専用の回線を契約したり、IP-VPNや広域イーサネットを利用すると、コストが高くなるため現実的ではありません。
VPNルーターを利用すれば専用の回線などを用意しなくても、VPNルーターを導入するだけで拠点間をVPN接続することが可能です。
結果的に低コストで拠点間を安全性の高い情報のやり取りができます。
リモートで社内システムにアクセスできる
リモートで社内システムにアクセスできるようになることも、法人がVPNルーターを導入するメリットです。
近年はリモートワークが普及してきていますが、各従業員の自宅から社内システムにリモートアクセスする場合、セキュリティ面の問題があります。
VPNルーターを導入すれば、リモートワークをしている従業員がVPNを介して社内システムにアクセスできるようになるため、安全性を確保することが可能です。
社内にVPNルーターを設定すれば、従業員側はVPNルーターを用意する必要がなく、接続の設定をするだけでVPN接続が可能になるため、導入が手軽なのも大きなメリットといえます。
家庭用でVPNルーターを導入するメリット
家庭用でVPNルーターを導入するメリットは以下の通りです。
- 費用を抑えてVPN環境を構築できる
- リモートで自宅のデバイスにアクセスできる
家庭用としてVPNルーターを導入すれば、プライベートでインターネットを利用する際の安全性を確保することが可能です。
それぞれ詳しく解説します。
費用を抑えてVPN環境を構築できる
自宅にVPNルーターを導入すれば、低コストでVPN環境を構築することが可能です。
家庭でVPN環境を構築する代表的な方法として、「NordVPN」などのVPNサービスを利用する方法があります。
しかし、デバイスが複数ある場合はそれぞれで接続設定を行う必要があるため、管理が手間になることが多いです。
また、デバイスによってはVPNサービスを利用できないことがあります。
VPNルーターを導入し、ルーター上でVPN接続の設定を行えば、デバイスをルーターに接続するだけでVPNが利用できるようになります。
設定はVPNルーター上で行うだけで済むので、後からデバイスが増えても設定の手間が増えないこともメリットです。
リモートで自宅のデバイスに安全にアクセスできる
自宅にVPNルーターを導入することで、外出先から自宅のデバイスに安全にアクセスできるようになります。
例えば旅行先などから自宅の仕事用のファイルにアクセスする場合、フリーWi-Fiを利用しなければならないことも多いです。
フリーWi-Fiはセキュリティ面に不安があるため、仕事用のデータを扱うのには不安が残ります。
自宅にVPNルーターを導入すれば、外出先からでも自宅のデバイスとVPN接続することが可能なので、重要なデータを安心して扱うことが可能です。
個人事業主など、自宅のデバイスに重要な情報を保管している人にとっては、特に大きなメリットといえるでしょう。
VPNルーターの違いや選ぶ際のポイント
一口にVPNルーターといっても、機種によって機能に違いがあるため、選ぶ際には自分にあったものであるか事前に確認することが重要になります。
VPNルーターの違いや選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- VPNルーターを導入できるネットワーク環境か
- 規模に合ったVPNルーターか
- ルーターとしての性能は高いか
- 利用目的に合った機能があるか
- セキュリティ面で問題がないか
- 利用したいプロトコルに対応しているか
それぞれ詳しく解説します。
VPNルーターを導入できるネットワーク環境か
VPNルーターを導入する前にまず確認しておきたいのが、自社や自宅のネットワーク環境です。
導入を検討しているVPNルーターが自前のネットワーク環境に対応していない場合、導入しても無駄になってしまう恐れがあります。
特にIPv6という最新のIPを利用している場合、VPNルーター側が対応していないことが多いです。
また、新たにVPNルーターを導入しなくても、既存の機器で設定を行えばVPNを構築できるということもあります。
VPNルーターを導入する際は、事前にネットワーク環境を確認し、導入する意味があるかをしっかりと確認しましょう。
規模に合ったVPNルーターか
VPNルーターを導入する際には、導入予定のルーターが規模に合っているかも確認しましょう。
例えば法人で利用するのにも関わらず、個人向けのVPNルーターを導入してしまうと、性能が不十分な可能性があります。
同様に、個人で利用するのに法人向けの高性能なルーターを導入しても、性能を活かしきれない可能性が高いです。
VPNルーターを導入する際には、どの程度の規模を想定したものなのか、よく確認しましょう。
ルーターとしての性能は高いか
VPNルーターを選ぶ際には、VPN機能に注目してしまいがちですが、ルーターとしての性能もしっかりと確認することが重要です。
特に確認したいのは以下の項目です。
- Wi-Fiの規格
- 通信速度
Wi-Fiの規格が古いものを導入してしまうと、最新のデバイスに対応してないことがあります。
基本的に最新の規格を選択しておけば過去の規格にも対応しているので、問題なく利用できることが多いです。
また、通信速度もVPNルーターを選ぶ際には重要になります。
VPN機能があったとしても、ルーター自体の通信速度が遅いと快適にインターネットを利用できません。
VPNルーターを選ぶ際にはルーター自体の通信速度も確認し、十分な性能を備えているものを導入することをおすすめします。
セキュリティ面で問題がないか
VPNのセキュリティ機能に問題がないかも、VPNルーターを選ぶ際に重要なポイントです。
セキュリティの向上を目的としてVPNルーターを導入するのであれば、求めているセキュリティ機能を備えているか確認する必要があります。
特に以下のような機能を備えたものを選べば、より安全に情報のやり取りが可能です。
- 不正侵入検知
- アンチウイルス機能
- ファイアウォール機能
VPNルーターを選ぶ際には、上記のような機能を備えているかも確認しましょう。
利用したいプロトコルに対応しているか
VPNルーターを選ぶ際には、利用したいプロトコルに対応しているかも確認しましょう。
プロトコルとは通信方式のことで、デバイスごとに対応しているものが異なります。
もしVPNルーターが接続したいデバイスが使用できるプロトコルに対応していなかった場合、VPN接続を行うことができません。
そのため、VPNルーターを選ぶ際には接続したいデバイスが使用できるプロトコルを事前に確認することが重要になります。
また、デバイスが複数のプロトコルに対応している場合は、なるべく安全性の高いプロトコルを利用するのがおすすめです。
特に「Open VPN」は安全性も高く、通信速度も安定しています。
安いVPNルーターは問題ない?
基本的にVPNルーターは高価なものが多いため、なるべく安いものを導入したいと考える人も多いでしょう。
安いルーターは機能面で高級なものに劣ることが多いですが、場合によっては十分選択肢に入ります。
重要なのはルーターの機能が利用したい環境に合っているかどうかです。
安いからといって利用する環境に合わないものを選択してしまっては、安物買いの銭失いになりかねませんが、環境にあっていれば、安い分コストを抑えられることになります。
まずはVPNルーターに求める性能を事前に洗い出し、求める機能を持っているものの中で値段を吟味していくことで、最適なコストで必要なVPNルーターを導入することが可能です。
おすすめのVPNルーター7選
VPNルーターの選び方が分かったところで、おすすめのVPNルーターを紹介します。
製品名 | RTX830 | RT6600ax | RT-AX3000 V2 | C841M-4X-JSEC/K9 | WXR-5700AX7P | WRX560 | Archer AX5400 |
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価格(税込) | 101,200円 | 50,500円 | 12,000円 | 15,980円 | 22,480円 | 36,300円 | 10,597円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート コンソールポート:2ポート | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート | LANポート:4ポートWANポート:1ポートUSBポート:1ポート | LANポート:4ポート WANポート:2ポート USBポート:1ポート コンソールポート:1ポート | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート | LANポート:4ポート WANポート:2ポート USBポート:1ポート | LANポート:4ポート WANポート:1ポート |
サイズ(mm) | 220×43.5×160 | 175×320×200 | 224×129×160 | 451×295×171 | 230×163×60 | 233×194×66 | 200×189×59 |
対応プロトコル | IPsec PPTP IKEv2/IPsec L2TP/IPsecなど | SSTP OpenVPN PPTPL2TP L2TP/IPsecなど | SSTP IPSec OpenVPN PPTPL2TP | IPsec/IKEv1 IKEv2 IPsec over IPV6 IPsec | L2TP/IPsec | SSTP OpenVPN L2TP/IPsec | OpenVPN PPTP L2TP |
※2024年11月時点
それぞれのルーターの強みを理解して、自分に合ったものを選択しましょう。
1.複数拠点の設定が簡単なVPNルーター「YAMAHA RTX830」
- 稼働が安定している
- 複数拠点の設定が簡単
- 個人向けとして使うには高価
RTX830はヤマハが販売するVPNルーターです。
楽器や音響機器などで有名なヤマハですが、VPNルーターの開発・販売も行っています。
RTX830はヤマハが販売しているVPNルーターの中でも小規模から中規模向けのもので、稼働の安定性が大きな強みです。
複数拠点の設定を簡単に行える「マルチポイントトンネル機能」を備えているので、法人が拠点間をVPN接続する目的で利用する際にも選択肢に入ってきます。
人気のルーターなので設定に関する情報も出回っており、高度な設定がしやすいこともポイントです。
仕様 | RTX830 |
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価格(税込) | 101,200円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート コンソールポート:2ポート |
サイズ(mm) | 220×43.5×160 |
対応プロトコル | IPsec PPTP IKEv2/IPsec L2TP/IPsecなど |
2.法人向けルーター並みの機能が強み「Synology RT6600ax」
- 法人向けルーター並みの機能
- IPv6にも対応
- 大規模な事業所には向かない
RT6600axはSynologyが販売しているVPNルーターです。
「Wi-Fi 6」に対応しており、最新の機器も問題なく接続できます。
基本的に個人用のモデルですが、法人向けのVPNルーターに採用されるような高度な機能も搭載されているため、小規模な企業などでも利用が可能です。
対応しているVPNルーターが少ないIPv6にも、OpenVPNのみと限定的でありながら対応しており、ネットワーク環境のアップデートがあっても長く利用できる機種となっています。
仕様 | RT6600ax |
---|---|
価格(税込) | 50,500円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート |
サイズ(mm) | 175×320×200 |
対応プロトコル | SSTP OpenVPN PPTP L2TPL2TP/IPsecなど |
3.手頃な価格でしっかり使える「ASUS RT-AX3000 V2」
- コストパフォーマンスに優れる
- 必要なプロトコルには対応
- 大規模な事業所には対応していない
RT-AX3000はPCやPC周辺機器などを扱うASUSが販売しているVPNルーターです。
ASUSの製品はコストパフォーマンスに優れているものが多く、RT-AX3000も例外ではありません。
主要な3種類のプロトコルに対応しており、多くのデバイスを安全性の高い方式でVPN接続することが可能です。
ルーターとしての性能も個人向けとしては高く、通信速度も安定しています。
また、高価なものが多いVPNルーターの中で、1万円台で購入できることも大きな魅力です。
仕様 | RT-AX3000 V2 |
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実売価格(税込) | 12,000円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート |
サイズ(mm) | 224×129×160 |
対応プロトコル | SSTP IPSec OpenVPN PPTPL2TPなど |
4.日本語で設定が可能な海外製ルーター「Cisco C841M-4X-JSEC/K9」
- 日本語に対応していて設定しやすい
- 法人向けとしてはリーズナブル
- 個人用として利用するなら複雑な設定が必要
C841M-4X-JSEC/K9はCiscoが提供するVPNルーターです。
「Cisco Start」というブランドから展開されている製品で、アメリカのメーカーでありながら日本向けの機能が備えられています。
法人向けのVPNルーターは複雑な設定が必要なため、海外製品を利用する際には言語の壁が大きな問題となるのですが、C841M-4X-JSEC/K9は日本語に対応しているため、日本の法人でも問題なく利用することが可能です。
価格も法人向けのVPNルーターとしては抑えめで、中小企業でも導入しやすいルーターとなっています。
仕様 | C841M-4X-JSEC/K9 |
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実売価格(税込) | 15,980円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:2ポート USBポート:1ポート コンソールポート:1ポート |
サイズ(mm) | 451×295×171 |
対応プロトコル | IPsec/IKEv1 IKEv2 IPsec over IPV6IPsecなど |
5.最大10台接続できる家庭用ルーター「BUFFALO WXR-5700AX7P」
- 家庭用として十分な性能
- 最大10台を同時接続可能
- 対応プロトコルが少ない
BUFFALOのWXR-5700AX7Pは、VPN接続にも対応した家庭用ルーターです。
家庭用としては十分な機能を備えており、通常時でも快適にインターネットを利用できます。
最大同時接続数も10台と、個人で利用する上では十分です。
ただし、対応しているプロトコルがL2TP/IPsecのみとなっており、デバイスによってはVPN接続ができない場合があります。
購入を検討する際は、接続する予定のあるデバイスが対応しているプロトコルを事前に確認しましょう。
仕様 | WXR-5700AX7P |
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実売価格(税込) | 22,480円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:1ポート USBポート:1ポート |
サイズ(mm) | 230×163×60 |
対応プロトコル | L2TP/IPsec |
6.低価格な法人向けルーター「Synology WRX560」
- 最大150台同時接続可能
- 置き場所に困らないデザイン
- 価格を考えると対応プロトコルは少な目
WRX560は、Synology製品の中では比較的低価格なVPNルーターです。
先に紹介したRT6600axと比較すると性能は控えめですが、最大150台同時に接続が可能など、法人でも十分利用できる性能を誇っています。
RT6600axをはじめとした同社製のルーターと併用することも可能で、より安定性の高いVPN接続を実現できます。
全長が縦に長いデザインとなっており、置き場所に困りにくいのもポイントです。
仕様 | WRX560 |
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実売価格(税込) | 36,300円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:2ポート USBポート:1ポート |
サイズ(mm) | 233×194×66 |
対応プロトコル | SSTP OpenVPN L2TP/IPsecなど |
7.ルーターとしても高機能「TP-LINK Archer AX5400」
- 高速な6GHz帯が利用可能
- 安価で導入できる
- 法人向けとしては性能に不安
Archer AX5400はTP-LINKが販売するミドルハイエンドクラスの家庭用VPNルーターです。
「Wi-Fi 6E」に対応しており、高速な6GHz帯が使えるなどルーターとしての性能も高く、通常使用でも快適なネットワーク環境を実現できます。
VPNルーターとしてはOpenVPNをはじめとした3種類のプロトコルに対応しており、NordVPNやSurfsharkなどのVPNサービスにも接続できるなど、柔軟性の高さが特徴的です。
価格も12,980円と安く、気軽に導入しやすくなっています。
仕様 | Archer AX5400 |
---|---|
実売価格(税込) | 10,597円 |
ポート数 | LANポート:4ポート WANポート:1ポート |
サイズ(mm) | 200×189×59 |
対応プロトコル | OpenVPN PPTP L2TPなど |
VPNルーターの注意点
VPNルーターを導入する際の注意点は以下の通りです。
- 導入や運用にコストがかかる
- IP-VPNよりはセキュリティが劣る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
導入や運用にコストがかかる
VPNルーターを利用すると、IP-VPNや広域イーサネットと比較して低コストで社内や自宅内にVPN環境を構築できます。
しかし、あくまでIP-VPNや広域イーサネットと比べると低コストというだけで、実際にはある程度の費用が掛かるので注意が必要です。
当記事で紹介しているVPNルーターでも、法人向けのものであれば5万円~10万円ほどの費用が必要になります。
また、VPNルーターを利用する場合、VPN環境の運営を自力で行わなければいけません。
IP-VPNや広域イーサネットの場合は、トラブルが発生した際にベンダーのサポートを受けられるので、VPN運用時の人的コストを抑えたい場合は、IP-VPNや広域イーサネットの利用も検討しましょう。
IP-VPNや広域イーサネットよりはセキュリティが劣る
VPNルーターでも十分インターネット接続の安全性を確保することが可能です。
しかし、不特定多数が利用するインターネット回線を利用することもあり、通信事業者が保有する専用回線を利用するIP-VPNや広域イーサネットと比較すると、どうしても安全性は劣ります。
より安全性の高いVPNを求めているのであれば、IP-VPNや広域イーサネットの利用も検討しましょう。
ただし、先述の通り、IP-VPNや広域イーサネットは導入コストがVPNルーターよりも高い傾向にあります。
コストと安全性を天秤にかけ、自分に合ったものを選択することが重要です。
VPNルーターの設定方法
VPNルーターでVPNに接続するためには、あらかじめルーターの設定が必要になります。
基本的な設定の手順は以下の通りです。
- 暗号化の種類を選択する
- ユーザーを設定する
- 接続テストをする
VPNルーターの設定が適切に行われていないと、セキュリティに問題が発生する恐れがあるので、よく確認しましょう。
プロトコルの種類を選択する
まずはVPNルーターで利用するプロトコルの種類を選択しましょう。
プロトコルの種類を選ぶ際には、接続したいデバイスで共通のものを選択する必要があります。
基本的にはIPSecやPPTPを選択すれば、ほとんどのデバイスを接続することが可能です。
接続するデバイスが対応しているのであれば、安全性が高く通信速度も速いOpenVPNや、特にセキュリティレベルの高いIPSecなどを利用するのがおすすめです。
ユーザーを設定する
プロトコルの種類を選択したら、VPN接続を利用できるユーザーの設定を行います。
ユーザー名とパスワードを登録することで、ユーザーの設定を行うことが可能です。
VPNルーターによっては二段階認証やマトリクス認証などの、高度な認証も利用できます。
接続テストをする
プロトコルの選択やユーザーの設定といった接続設定が完了したら、最後に接続試験を行いましょう。
接続したいデバイスからVPNルーターにVPN接続を行い、正常に接続が行えているかを確認します。
VPN接続を行う際には、ルーターのIPアドレスや登録したユーザー名が必要です。
問題なく接続ができていれば、VPNルーターの設定は完了です。
VPNルーターの導入は慎重に行おう
VPNルーターについて解説してきました。
本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- 法人・個人を問わずVPNルーターを使うメリットは大きい
- 選ぶ際は利用場所の規模や対応プロトコルを確認
- 安いルーターでも利用したい環境にあっていれば十分選択肢に入る
VPNルーターを導入することで、法人・個人それぞれで異なるメリットがあります。
特に外出先から自宅のデバイスにアクセスすることが多い場合、VPNルーターを導入することで安全に作業を行うことが可能です。
VPNルーターを選ぶ際には、利用する場所の規模や利用目的に合っているかだけでなく、ルーターとしての性能にも注目しましょう。
ルーターとしての性能が高いものを選べば、通常時も快適にインターネットを利用できます。
当記事を参考にして、ぜひ自分に合ったVPNルーターを探してみてください。
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